Doctors Journal Vol.8
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18医療経営最前線レポート② 鈴木慶やすらぎクリニック 迅速検査の体制があることは、医師にもメリットはありますが、何よりも患者さんのメリットが大きいのです。初診でもその日から治療を始めることができますし、再診でも時間を浪費せずにすみます。初期医療では患者さんにとっての利便性も重要な要素ではないでしょうか。 患者さんは、圧倒的に慢性疾患の患者さんが多いです。しかし中には脳梗塞やくも膜下の患者さんが歩いて来院される事もあり、時には消化管穿孔や大動脈瘤など怖い病気の患者さんも来院されるので、私としては気が抜けません。 当クリニック開業前は、同じ立川市内で救急病院を開設していたこともあり、今でも救急車を呼ぶ件数が月に10台以上あります。うちから救急で大病院に搬送し緊急手術という患者さんも多くおられます。 在宅医療に関して言えば、救急病院を経営していた当時は月の半分以上は当直していましたのでいつでも呼び出されるのには慣れていました。しかし、救急病院からクリニックに変えてからは、医師が私一人と言う事もあり24時間対応の在宅支援診療所は難しくなり、現在は他の在宅支援診療所と連携を取って、限られた患者さんの在宅支援を行っています。 古くからある往診と言う日本の診療形態は患者さんと非常に近しくて役に立つ関係でしたが、戦後それが大きく壊れて大病院志向になった頃から混沌としてしまって、患者と大病院をつなぐシステムが崩壊していると感じています。そこが一番の問題だと思っています。 私自身特に疾患別に自分のフィールドを決めてはいませんが、脳外科出身のフィールドの中で勝負していますから、生活習慣病、特に動脈硬化と認知症、頭痛が今現在取り組んでいる専門性といって良いかと思います。鈴木慶やすらぎクリニック― 鈴木慶やすらぎクリニックではこの規模では珍しい最新の検査機器を備えている。常勤の3人の臨床検査技師による迅速検査体制により、一般的な検査結果データであれば当日中に出す事ができる。例えば、朝一番の患者さんが診察前に血液検査を行うと、検査結果が診察開始までには揃い、その検査結果を基に診断し、治療方針や今後の見通しを伝えることで、患者さんはその日のうちに納得し、安心して家に帰ることができる。それは、初期医療を担う町医者として重要な役割だと鈴木院長は言う ―
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