Doctors Journal Vol.8
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19鈴木慶やすらぎクリニック医療経営最前線レポート ② 私の経営理念として、当医院のスタッフにはここで働いて頂いているわけですから、働いている人の能力が十分に発揮できるような職場環境を整備することはとても大切だと思っています。気持ちよく働いてもらう、辞めたくない、自分が成長できる、そんな環境を作ることは経営者として当然の事です。有給の産休・育休制度、交代制による有給休暇消化の奨励、院内保育室の設置など、待遇面にも最大限に配慮し、研修会などの費用負担や資格取得の奨励によるスキルアップ支援なども、スタッフのモチベーションアップのためには必要不可欠な制度として取り組んでいます。 このクリニックはスタッフ全員の力の総和で運営されているわけです。そしてクリニックの力を高めていく事が患者さんへの利益還元になると思っています。そのためにはスタッフがやる気を出して元気で頑張ってもらえなければなりません。スタッフを大事にする事はクリニックを大事にする事であり、患者さんを大事にする事だと思っています。 現在60名のスタッフがいますが、全スタッフのそれぞれの家庭環境等も把握しようと努めています。今までは私一人が中心で医療、経営全てを行ってきました。しかし、できることとやって良いことは違うと感じていました。今回のリニューアルオープンを機に、マネジメントのシステムを事務型に移行しようと思っています。そのための事務長候補も新たに採用しました。 これからはスタッフは医療の現場に、クリニック運営は事務スタッフと、それぞれのスペシャリストが専門分野を担当する体制でクリニック運営に当っていこうと考えています。 ここまでの規模になったのは、最初から目指していたわけではなく、地域の患者さんたちの利便性と満足度を高めようと思ってやって来たら、結果としてこうなったということに尽きます。但し、これ以上大きくするつもりはありません。開業医にとって連携医療は非常に大切です 現在、立川の国立病院機構災害医療センターと綿密な医療連携を取っています。医師会の有志5人と先方の循環器と救命救急の医局員全員で、災害医療センターの会議室において、こちらが1症例、向こうが1症例それぞれの発表を行う症例カンファレンスを年に5回行っています。そのような関係ですから全医局員の先生から研修医まで全員の顔を知っているので、医療連携は非常に良く機能しています。 開業医と大規模病院の医師たちが顔を着き合わせて信頼関係が構築できていれば、患者さんをお願いするときの受け入れは非常にスムーズです。私のところは年間250名以上の患者さんを紹介し、そのうち100名以上は入院の患者さんです。他にも提携病院は7つありますが、一番綿密に医療連携を行っているのは、国立病院機構災害医療センターです。 また診診連携も重要です。総じて開業医の多くの先生方は能力が高いと思われます。大きな病院で高い立場だった医師が開業するケースも多く、開業できる自信が付いた段階で開業している先生ですから見ている症例数の多さが違うでしょう。その中から私が信頼できる開業医の先生方との診診連携も取っています。 連携する調剤薬局の薬剤師との綿密な医薬連携にも取り組んでいます。具体的には薬剤師の診察でスタッフはここで働いて頂いているという思い― 鈴木慶やすらぎクリニックには、1階の外来診療のクリニックの他に、2階がリハビリテーションとジム、3階にはデイサービスと保育所が併設されている。5階にはスタッフ専用のスカイラウンジがあり、研修やカンファレンスにも活用されている。総勢60人にも上る職員を雇用し、生活を保障するためには、経営は疎かにできないと鈴木院長は言う。医院経営が健全かつ安定的でないと、自らが思い描く医療を実現できないし、継続も難しくなる。経営状態を自ら常に把握することを意識し税理士との経営会議も毎月欠かさない ―

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