ドクタージャーナル15号
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13DoctorsJournalが出ました。しかし当時は外国で認められていないからという理由で承認されませんでした。第三相試験を経てやっと承認されたのが2014年9月です。認められるまでに非常に長い時間と苦労がかかりました。私がレビー小体型認知症を学会発表してもなかなか認めてもらえなかったのと一緒です。認可されるまでの、その間に失われたレビー小体型認知症の患者さんの損失は多大と思われます。―小阪先生は、「アルツハイマー型認知症に対してアリセプトを用いる場合、3mgから処方を始めるのが一般的ですが、レビー小体型認知症にはこの用量でさまざまな副作用が生じることがあります。たとえば、イライラが高じたり、攻撃的になったりするほか、胃腸などの消化器に不調をきたすことがあります。したがって、レビー小体型認知症の人の処方にあたっては、より少量から始め、少しずつ増量していくのが無難であるという意見もあります。」(レビー小体型認知症の介護がわかるガイドブックより)とも述べられており、「3mgで副作用が出る人もいるので、その場合には、1mgや2mgを使ったりします。とはいえ、一般的にはアリセプトの3mg→5mg→10mgへと増量していくのが通例です。10mg→5mgへ減量することもあります。」とも、使用に関してはより慎重な注意を歓呼されておりますね。―現状の医療制度の課題もある 認知症の初診で重要なのは、しっかりと時間をかけて診断することにつきます。 私の場合、患者さんの初診には長時間を掛けますので、診察は午前に一人、午後に一人と1日に2人しかできません。それだけ時間をかけないと正しい診断ができないからです。 レビー小体型認知症では初診で正しい診断をつけることが最も大切なのです。効率を優先することは難しい。その他に施設の患者さんの訪問診療も行っていますが、診ることができる患者さんの数にはおのずと限界があります。 医療経営の視点で見れば非常に厳しい現実があります。私も随分苦労しました。 今の医療制度の下では、若い医師であっても経験豊かな専門医であっても、また、診察にかける時間が5分でも、30分でも、2時間でも初診料は同じです。地域のかかりつけ医にとっては、他の患者さんの診察や医療経営の観点から見ても、一人の患者さんにそんなに時間をかけられない。ここが、地域のかかりつけ医が認知症に取り組むことの難しさではないでしょうか。 これは医療行政や保険制度の課題でもあります。これから認知症は確実に増えていきますし、特にかかりつけ医の役割は大きくなってきます。ですから、診療報酬などの医療制度上の解決策も、今後の行政に取り組んで欲しい重要なテーマだと思います。レビー小体型認知症研究会を立ち上げる  2006年11月に横浜で国際ワークショップが開催されたのを機会に、翌2007年、国内においてレビー小体型認知症を正しく紹介することを目的として、レビー小体型認知症研究会を立ち上げました。現在この研究会には、300人ほどのドクターが全国から参加しています。 毎年11月に横浜で全国大会を開催していまして、今年の開催で9回目■レビー小体型認知症の最大の問題とは:小阪 憲司氏 医学博士 (認知症専門医)

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