ドクタージャーナルVol.17
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13DoctorsJournal会で、「認知症の人が認知症の人を介護しているという現実がある。」という報告を「認認介護」というネーミングを使い発表しました。そのことが2008年7月6日の朝日新聞に、『「老老」から「認認」介護に変化』という記事で載り、世の中に「認認介護」という言葉が広まりました。当時の朝日新聞には、高齢者が高齢者の世話をする「老老介護」が社会問題化するなか、すでに夫婦ともに認知症になる「認認介護」の事例も出てきた。将来の人口推計からみても、独居または夫婦とも高齢者家庭の割合は確実に増える。高齢化と核家族化により、「認認介護はもっと増える」と指摘されている。とあります。在宅医療は常にフロントライン、時代のセンサーだと思います。在宅医療は常にフロントラインです。そこから見えるものがたくさんあります。同時に在宅医療は新聞やマスコミより早い時代のセンサーだと思っています。進みつつある高齢化社会の実態を、行政や世の中の人々に発信しなければならない使命があると思っています。2007年には現代のエスプリ484号「在宅医療―そのミッション・ビジョン・ゴール」で、高校時代からの友人で現在は厚生労働省雇用均等・児童家庭局長の香取照幸氏などと一緒に在宅医療の方向性について論じました。在宅医療に携わるなかで、これからますます大きな課題となってゆく認知症に対して、家族も行政も納得できるような道筋を付けなければとならないと思いました。最近では、世の中の認知症への理解を深め暮らしやすい世の中にしていこうと、認知症の当事者の方たちが自ら声を上げ始めています。医師も医療の供給者に留まらず、社会的存在としての医師の姿が求められていくのではないでしょうか。これからは医療提供者の真のヘルスプロモーションの能力が問われる時代になっています。在宅医療に携わる私たちが提供するのは、在宅医療のフィールドを使ったハイパフォーマンス・ヘルスケアだと思っています。それを考えて具現化し評価する。そして次の世代につなげていく。この取り組みがこれからのテーマと考えています。■髙瀬 義昌氏 医療法人社団 至髙会 たかせクリニック 院長髙瀬 義昌氏[プロフィール] 医療法人社団至髙会理事長、医学博士、認知症サポート医信州大学医学部卒業。東京医科大学大学院修了、医学博士。麻酔科、小児科研修を経て、包括的医療・日本風の家庭医学・家族療法を模索し、2004年、東京都大田区に在宅医療中心の「たかせクリニック」を開業する。在宅医療における認知症のスペシャリストとして厚生労働省推奨事業や東京都・大田区の地域包括ケア、介護関連事業の委員も数多く務め、在宅医療の発展に日々邁進している。[経歴]昭和59年3月 信州大学医学部卒業平成16年8月 たかせクリニック開設(平成19年 法人化)[資格]昭和59年 医師免許取得昭和62年 麻酔科標榜医取得平成 4年 日本小児科学会認定医取得平成13年 介護支援専門員取得平成14年 日本プライマリケア学会認定医取得平成20年 認知症サポート医取得平成24年 日本慢性期医療協会、在宅医療認定医取得平成24年 東京医科大学社会人大学院 医学博士取得[主な役職]公益財団法人 日米医学医療交流財団 専務理事一般社団法人 ITヘルスケア学会 副会長公益財団法人 杉浦記念財団 理事一般社団法人 蒲田医師会 理事東京都医師会 地域福祉委員会 委員東京都認知症対策推進会議 認知症医療部会 委員東京都地域ケア会議 推進部会 委員日本薬科大学 客員教授特定非営利活動法人オレンジアクト理事長[著書]・『はじめての認知症介護』(佼成出版社刊)・『介護のための医学知識ハンドブック』(ナツメ社刊)・『認知症の治療とケア』(じほう刊)・『高齢者ケアのための“くすり”の知識』(日本看護協会出版会刊)・『医療を変えるのは誰か?-複雑系で解く21世紀の医療』(はる書房刊)・『ぜんそくなんかふきとばせ!』『おねしょまじんをやっつけろ!』(佼成出版社刊)・『ブレイブのぜんそくってなんだろう』(つくば総合研究所刊)・外来全科『痛み治療マニュアル 第2刷』((株)三輪書店)・『OSCEトレガイド-医学生・研修医のための臨床技能ワークブック』(医学評論社)・第93回再現看護師国家試験問題解説書『レプリカ’05』(医学評論社)・『現代のエスプリ 在宅医療』(至文堂)・月刊「コミュニティケア」(日本看護協会出版)・『自宅で安らかな最期を迎える方法』WAVE出版[これまでの活動・研究実績、論文]1. 髙瀬義昌、笹田美和、榊原幹夫、五十嵐中、亀井浩行、小山恵子:地域包括ケアにおける医薬品適正使用に関する研究 ―高齢者において処方薬の削減によりQOLが上昇した事例― 老年精神医学雑誌 第25巻第12号(2014.12)2. 髙瀬義昌、大石修司、根本健司、中村博幸、市来真彦、片山成仁、英 裕雄、五十嵐中:在宅医療現場に潜在する閉塞性換気障害患者の検出に関する検討 東京医科大学雑誌第70巻第2号 別刷3. 平成24年度厚生労働省補助事業老人保健健康増進等事業 介護支援専門員の資質向上と今後のあり方に関する調査研究 ケアマネジメントQOL研究会 委員4. 平成25年度厚生労働省チーム医療・在宅医療推進のための看護業務の安全性等検証事業 診療の補助における特定行為に係る医師の指示に基づくプロトコール試行事業検討委員会 刊医療法人社団 至髙会 たかせクリニックhttp://www.takase-cl.org/【在宅療養支援診療所】〒146-0092 東京都大田区下丸子1-16-6-1FTEL:03-5732-2525

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