ドクタージャーナル20号
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6DoctorsJournal認知症を脳病変、症状、生活の三つの視点で捉え、地域の医療連携の立ち上げや推進に取り組んできました。病理学、神経内科、リハビリテーションの三つの視点から認知症を捉える1976年に群馬大学医学部を卒業後、基礎研究の分野を志し大学院で神経病理学を学んだ後に、平井俊策教授との出会いがあり神経内科に入局しました。平井俊策教授の研究テーマが認知症の人の脳病理でした。それが私にとって認知症との最初の出会いでした。当時、群馬大学医学部ではリハビリテーション医学研究部門が設置され(この名称だが、実際は神経内科として)、東京大学医学部より赴任されてきたのが平井俊策教授でした。40年ほど前になりますがその当時は、認知症は脳血管障害によって生じる血管性認知症が多いというのが学会の定説でした。しかし平井俊策教授は当時から、実際には血管性認知症よりもアルツハイマー型認知症が多いことを示してきましたが、なかなか認められませんでした。神経内科では、病理で培ってきた蛍光抗体法や免疫染色を活かし、アルツハイマー病の脳の病理研究などを行ってきました。また同時期から特別養護老人ホームの嘱託医として認知症の臨床にも関わってきました。その後、リハビリテーション医となり現在に至っています。私は、病理で脳病変を見る目を養い、次に神経内科で神経症候を見る目を養い、その後にリハビリテーション医で生活障害を見る目を養ってきたことで、認知症を脳病変、症状、生活の三つの視点から捉えるようになりました。その視点から、地域の医療連携の立ち上げや推進に取り組んできました。群馬県地域リハビリテーション協議会を設立し、地域リハビリテーション連携システムの構築に取り組む。1998年に始まった国の地域リハビリテーション支援体制整備推進事業において、群馬県の取り組みは他県に比べると大きく遅れていました。そこで、それまで縦割りだった県内のリハビリ関連諸団体の連携を強化して地域リハビリを推進するためエビデンス通りの画一的な治療ではなく、患者さんや家族の困っている症状を改善しQOLを高めることが認知症の実践医療です病理学研究、神経内科医、リハビリテーション医と特異な経歴を有し、30年以上にわたる認知症医療で、多くの臨床経験を積んできた認知症専門医の山口晴保氏は、特に認知症医療の薬物療法における医師のエビデンス信奉に警鐘を鳴らす。新著の「紙とペンでできる認知症診療術 - 笑顔の生活を支えよう」では、目の前の患者・家族の困難に立ち向かう認知症の実践医療を解説し、あらゆる分野の医師に認知症の診断術を理解・習得して欲しいと訴える。今回は、地域医療・リハビリネットワークの構築にも数多く取り組んできた山口晴保氏にお話を伺った。山口晴保氏認知症専門医、リハビリテーション専門医群馬大学大学院教授

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